随想舎 

下野の細道

芭蕉の足跡をたどる

鯨 清

 風狂の旅人・芭蕉に惹かれた著者が、その足跡をたどりながら、江戸時代・戦国時代・源平合戦の時代、さらに古代へと、読者をタイムトラベルの道中に誘う。絢爛と風狂のはざまに佇む芭蕉、それに庶民の生活の知恵から神々の密かな情事まで、喜びと悲しみの交錯する下野の昔に深く踏み入り、歴史の真実に迫る。

A5判/304頁/定価2200円(本体2000円+税)
ISBN 4-88748-084-9

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著者プロフィール

鯨 清  くじらきよし

1936年(昭和11年)、栃木県宇都宮市に生まれる。
主著『卑弥呼は天照大御神である』(秋田書店)、『日本国誕生の謎』(日本文芸社)、『性神の謎』(岳書房)など。

目 次

序章 風狂への道
 ―盥に雨を聞きながら


 僧形の二人連れ
 手形も断りもいらない関所
 風流風雅の道1
 漂泊の思いやまず

第一章 思川旅情
 ―喜びも悲しみも水に映して


 野木神社の芭蕉墳
 野ざらし幻想
 逢の榎ここにありき
 間々田八幡宮の蛇祭り
 小山御殿を右にみて
 隠された喜沢追分の道標
 親鸞聖人大蛇済度伝説
 惣社河岸の碑

第二章 煙立つ室の八島
 ―神々の密かな情事


 しわぶきの森
 このしろ伝説
 三輪山伝説
 大神神社の歴史
 木の下暗も日の光
 御鉾祭にて

第三章 例幣使街道異聞風聞
 ―おどろ木ためいき杉並木


 慈覚大師円仁誕生の地
 金売り吉次の墓と高尾伝説
 義経伝説の判官塚古墳
 例幣使街道と鹿沼宿
 芭蕉の笠塚と百里供養碑
 あっぱれ正綱杉並木
 地震坂
 十石坂
 追分地蔵尊
 日光社参と今市宿の喧噪
 例幣使の権威と人気
 へのこさまの歌

第四章 青葉若葉の日の光
 ―絢爛と風狂のはざまに


 勝道上人の偉業
 大日遍照の山・日光山
 日光山の荒廃と復興
 日光山信仰教学体系
 養源院
 東照宮参詣
 大日堂跡の芭蕉句碑
 高野家の芭蕉句碑
 明治維新と神仏分離
 仏五左衛門と観音寺
 同行二人
 裏見の滝
 含満が淵

第五章 直道古道峠道
 ―そぞろ神の物につきて


 筋違橋から奥州古道へ
 江の久保の首切地蔵
 瀬尾の御塚様
 愛宕山と牛頭天王
 如意輪観音と女人講
 川室の道陸神
 馬頭観音のある風景
 大渡に伝わる御供の習俗
 愛宕山碑と道祖神のまつり
 船生の補陀落山観音寺
 雷雨に追われて
 幸岡の青面金剛像
 庚申信仰の種々相
  庚申信仰の歴史/庚申信仰の御利益
  庚申信仰の禁忌/女性と庚申講
  禁を犯せばこの通り/迷信と科学のはざまで
  江戸川柳に見える庚申信仰
 梅が窪の大聖不動明王
 沢観音寺と曽良句碑
 かさね橋となんじゃもんじゃの木

第六章 那須野が原逍遥
 ―珍しき行脚を花に留置て


 蕉門の桃雪翠桃兄弟
 雲巖寺参詣
 仏頂和尚山居の跡
 紅顔可憐の美兄弟
 浄法寺邸夏座敷
 風流風雅の散歩道
 白旗不動尊の霊験
 鎮国神社と小泉斐
 徳川家康の娘・しゃん姫
 修験光明寺行者堂
 篠原の玉藻稲荷神社
 那須一族の盛衰と金丸八幡宮
 余瀬の今昔
 翠桃邸での歌仙興行
 鹿子畑翠桃の墓
 浄法寺桃雪の墓

第七章 幽玄の伝説―殺生石と遊行柳

 馬牽むけよほととぎす
 奥州街道寸描
  樋沢八幡宮/鍋掛一里塚/
  八坂神社の芭蕉句碑/鍋掛宿と越堀宿
  那珂川渡渉/浄泉寺の黒羽領境界石
 高久覚左衛門と芭蕉真蹟懐紙
 那須与一腰掛松と松子
 那須温泉神社
 殺生石伝説
 教伝地獄と千体地蔵
 通り難い山道を下る
  漆塚湯泉神社/上川の虚空蔵尊
  下川の愛宕神社/余笹川の情景
  法師畑の道標/芦野温泉
 芦野の里
 遊行柳伝説
 西行法師と芭蕉
 遊行柳からの眺め
 芦野民部資俊
 蕪村と遊行柳
 遊行柳にて

第八章 境の明神の謎
 ―まぼろしの関所をたずねて


 奥州街道を北へ向かう
 境の明神願かけて
 和歌三神を祀った境の明神
 住吉神社はどこだ
 奥州道中絵図
 白河二所の関址の碑
 宗祇の見た二所明神
 白河神社の不思議
 ここに住吉神社があった
 追分の住吉玉津島神社
 白河の関いかにこえつるや
 関守の宿をくいなに
 謎は謎を生んで