下野の中世を旅する
 下野の中世を旅する

 江田 郁夫

 多彩、かつ芳醇な下野の中世。歴史の縦糸である時間軸と、横糸である地域・交通を空間軸にし、さらに史料と歴史観にこだわり俯瞰する中世下野の世界。大国の狭間で懸命に生き、戦い抜いた人々の、輝ける歴史の舞台を旅する。


 A5判/並製/240頁/定価 本体1800円+税(2009年11月22日発行)
 ISBN 978-4-88748-207-4
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著者プロフィール 

江田 郁夫(えだ いくお)

1960年 栃木県宇都宮市生まれ
1983年 東北大学文学部卒業
1986年 東北大学大学院文学研究科修士課程修了
2003年 東北大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)
現 在 栃木県立博物館特別研究員
[主要著書]
『室町幕府東国支配の研究』(高志書院、2008年)、『栃木県の歴史散歩』(山川出版社、2007年、共著)、『知られざる下野の中世』(随想舎、2005年、共著)、『南河内町史』、『高根沢町史』、『二宮町史』、『氏家町史』(以上、共著)ほか。

  目 次

 はじめに

 本書の課題/本書の構成


Ⅰ 下野の中世をたどる

 一 中世の特徴
   中世とは

 二 中世下野の政情
   中世下野の幕開け/下野御家人の活躍/変貌する社会/
   鎌倉幕府の滅亡と南北朝の動乱/東国大名の活躍/鎌倉府と東国大名/
   東西の対立/戦国動乱の時代へ/秀吉の天下統一/中世から近世へ

 三 中世下野の文化
   下野文化の諸相


Ⅱ 道から下野の中世をみる

 一 頼朝、北へ 鎌倉時代
   奥大道の成立/頼朝出陣

 二 顕家と宗長 南北朝・室町時代
   北畠顕家、上洛す/奥大道の賑わい/連歌師宗長が歩いた道/宗長がみた日光山

 三 秀吉の宇都宮仕置 戦国時代
   豊臣秀吉の天下統一/天下人秀吉がとおった道


Ⅲ 城から下野の中世をみる

  はじめに
  城郭研究の進展

 一 南北朝時代
   那須氏の城郭/小山氏の城郭/宇都宮城と贄木/城下諸口の成立

 二 室町時代
   室町時代の東国/那須黒羽城/要害の成立

 三 戦国時代
   享徳の乱と諸城/諸城の構造/宇都宮城と多気城/
   宇都宮氏支城の再興・修築/中世城郭の終焉/宇都宮領内の城わり
   おわりに
   本章のまとめ


Ⅳ 下野武士団の興亡をさぐる

 1 中世佐野氏の系譜と拠点

  はじめに
  佐野氏の惣領と一族/戦国時代の佐野氏

 一 佐野氏の系譜
   鎌倉時代の佐野氏/南北朝時代の佐野氏/室町時代の佐野氏

 二 佐野氏の拠点
   佐野氏の拠点上佐野/唐沢山城下の発展/安蘇郡天命の役割
   おわりに
   残された課題

 2 壬生一族大門氏の興亡

 一 大門氏の成立
   大門氏の拠点/壬生氏の鹿沼進出/壬生一族大門氏の成立

 二 大門氏の没落
   大門資忠の登場/壬生氏の分裂と資忠

 三 大門弥次郎の奮戦
   激化する下野の戦乱/倉ケ崎城主大門弥次郎/倉ケ崎城の落城/壬生氏の滅亡とその後の大門氏

 3 中世長沼氏の足跡
   名族長沼氏/長江荘(南山)と長沼氏/その後の長沼惣領家/南山に残る長沼氏の足跡

 4 皆川氏と織田信長
   信長への贈り物/長沼氏と皆川氏の知名度のちがい/信長の横死と皆川氏

 5 亨徳の乱と那須氏
   那須氏の分裂/那須越後守の実名/那須持資の下剋上/那須氏の洞中支配/享徳の乱の影響

 6 宇都宮正綱の出自
   正綱の出自をめぐるふたつの説/等綱の実子正綱/宇都宮成高寺の性格/
   宇都宮成綱・芳賀景高連署寄進状の意味/戦国時代への胎動

 7 宇都宮氏歴代の実名と東国秩序
   偏諱の授受がもつ意味/十五世紀後半の東国秩序/宇都宮氏歴代の実名/
   宇都宮明綱の仮名・実名/関東の京都御扶持衆/古河公方の偏諱拝領

 8 氏家勝山城主芳賀駿河守
   名城勝山城/勝山城主芳賀氏の成立/芳賀氏歴代/最後の城主芳賀高景

 9 戦国時代の益子氏
   名族益子氏/戦国時代の益子氏/戦国末期の益子氏当主

 10 戦国武将の幼名
   中世びとの名前/下野武士の幼名/小山氏と犬


Ⅴ 地域を訪ねる

 1 半手の村、生井郷(小山市)
   結城氏の制札/秀吉の禁制

 2 中世の開発と薬師寺荘(下野市)
   薬師寺荘半分/薬師寺氏らによる開発/田川流域の開発/薬師寺台地の開発/薬師寺氏領内の町場

 3 中世の土豪と土豪屋敷(下野市)
   立身と没落の中世/土豪・地侍の登場/結城氏からの軍役・竹役/
   屋敷の防備/中世土豪のふたつの選択

 4 中世長沼荘を潤した用水(真岡市)
   長沼荘の成立/長沼荘の用水/用水と長沼荘の開発

 5 中世宇都宮城と贄木(宇都宮市)
   宇都宮城をめぐる合戦/中世宇都宮の南口

 6 豊臣秀吉の宇都宮仕置(宇都宮市)
   戦国時代の終わり/秀吉の宇都宮仕置

 7 中世氏家郡二四郷(さくら市)
   荘園公領制の時代/氏家郡二四郷/惣鎮守今宮明神/戦国時代の氏家郡

 8 戦国時代の石末城(高根沢町)
   高根沢町域の中世城館址/阿久津城の旧名/政治・軍事上の要地石末城

 9 桑窪城と谷口氏(高根沢町)
   那須領への最前線/桑窪城主谷口氏/栗ケ島郷の代官/桑窪城の廃城

 10 中世の高根沢と伊勢神宮(高根沢町)
   中世の高根沢/伊勢神領栗嶋郷/栗嶋郷民の暮らし


Ⅵ 史料を読む

 1 「宇都宮家弘安式条」を読む
   「式条」の成立/「式条」の背景/「式条」の内容/「式条」のその後

 2 皆川家文書を読む
   皆川家文書とは/皆川家文書の特色/皆川家文書の伝来

 3 伊達政宗書状(維寶堂古文書)を読む

 4 宇都宮領岡本村太閤検地帳(栃木県立文書館寄託五月女裕久彦家文書)を読む

 5 栃木県立文書館寄託三澤毅家文書を読む
  ①佐竹義重書状/②壬生氏後室官途状/③西方綱吉官途状/④西方綱吉官途状/
  ⑤某(梶原か)氏景安堵状/⑥酒井忠勝書状/
  ⑦徳川秀忠黒印状/⑧藤田信吉知行宛行状

 6 豊臣秀吉朱印状写(真田宝物館蔵真田家文書)を読む


Ⅶ 研究をひもとく

 1 武者たちの時代 中世成立期の下野
  武者たちの時代/武者とは何か/辺境の武人政権/奥州幕府の可能性

 2 戦国の村、近世の村

   戦国時代の下野/秀吉の平和/戦国の村/近世の村

 3 原田信男著『中世村落の景観と生活』を読む

 4 松本一夫著『東国守護の歴史的特質』を読む

 5 荒川善夫著『戦国期東国の権力構造』を読む

 6 阿部能久著『戦国期関東公方の研究』を読む

 7 橋本澄朗・荒川善夫編『東国の中世遺跡 遺跡と遺物の様相 』を読む

 あとがき
 成稿一覧
 おもな参考文献