随想舎 

天空の湖と近代遺産

風景地奥日光とその周辺の人々

飯野 達央

 中禅寺湖畔に溶け込む三つの近代遺産、イタリア大使館別荘、西六番別荘、中禅寺湖畔ボートハウス-。
 風景地奥日光に魅了された人々を振り返るとともに、再生への願いを込めた整備事業の全容を紹介する。
 かつてイタリア大使館別荘記念公園や中禅寺湖畔ボートハウスなどの整備を通じ、風景の持つ癒しの力を実感していたことから、今、多くの人々に必要なことは、奥日光などの自然の中で心を癒してもらうことではないかと思い、奥日光の一部の歴史・文化を紹介することで奥日光の自然を再認識していただき、心の癒しと共に、奥日光の活性化にもつなげたいとの無謀ともいえる思いから、奥日光の歴史・文化資源を活用した整備経過をまとめることとした。
(「おわりに」より)

A5判/並製/172頁/定価1980円(本体1800円+税)
ISBN 978-4-88748-269-2
2012年11月27日 第1刷発行

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著者プロフィール

飯野達央   いいの たつお

1951年、栃木県宇都宮市に生まれる。
栃木県庁で長く自然環境行政に従事する。主な担当業務は次のとおり。
1990年度より県西大規模公園(日光だいや川公園)の基本計画策定等を担当。
1996年度に開催された「全国育樹祭」の会場整備を担当。
1997年度より「国際観光地日光活性化対策事業」・「緑のダイヤモンド計画事業」を担当。
2004年度に開催された「自然公園大会」会場整備等の総括を担当。

目 次

第1章 奥日光の歴史
 第1節 奥日光の変遷
 第2節 ヨーロッパ人の見た明治期の奥日光
   1 英国公使夫人が見た明治日本
   2 ベルギー公使夫人の明治日記
   3 ドイツ人御雇い外国人の見た奥日光
   4 女流探検家の見た日光
 第3節 中禅寺湖畔の別荘地
   1 最初の外国人別荘
   2 軽井沢との比較
   3 大使館別荘
    (1)旧イギリス大使館別荘
    (2)ベルギー大使館別荘
    (3)フランス大使館別荘
    (4)旧イタリア大使館別荘
   4 湖畔の最初のホテル

第2章 旧イタリア大使館別荘
 第1節 別荘の状況
 第2節 別荘の設計者
   1 設計者の探索
   2 設計者の特定
 第3節 建築家アントニン・レーモンド
   1 来日と独立
   2 レーモンド・スタイル
 第4節 建築に関わった人々
   1 赤坂藤吉
   2 高松儀平
   3 中村兵二・高田弥吉
   4 日光大工
 第5節 別荘の購入
   1 購入までの経緯
   2 コーベル邸
 第6節 整備の内容
   1 整備方針の決定
   2 建築本体と内部造作
   3 解説と展示
    (1)別荘の解説
    (2)避暑地の歴史
   4 環境の保全
   5 イタリア桜
 第7節 オープニング
   1 式典
   2 大使の晩餐会
   3 イタリア大使館別荘再整備が周辺に与えた影響
   4 日伊間の姉妹都市の夕べと日光彫
 第8節 有形登録文化財
   1 国の登録文化財の指定
   2 イタリア大使館別荘整備に関わった人々と竣工写真

3章 西六番別荘
 第1節 西六番別荘の現況
   1 現地の調査
   2 建設経緯
 第2節 整備方針の検討
   1 検討委員会
   2 整備方針
 第3節 整備の内容
   1 整備までの経緯
   2 整備の状況
 第4節 千手クラブハウスとハンス・ハンターの夢

第4章 中禅寺湖畔ボートハウス
 第1節 建設までの経緯
 第2節 整備の内容
 第3節 その後のボートハウス