随想舎 

TARABA・夜行列車に乗る

愛と命のメッセージ

宮下 忠子

 老年にさしかかったTARABAは、しばらくぶりに乗った夜行列車の中で、これまでの生き方を問うてみた。人間としての自分の生き方はこれで良かったのかと。山谷ドヤ街で医療相談員をつとめた宮下忠子が、命と平和の重さを自らの体験から綴った物語。

四六判/並製/208頁/定価1650円(本体1500円+税)
ISBN 978-4-88748-170-1

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著者プロフィール

宮下 忠子  (みやした ただこ)

1937年(昭和12)生まれる。
大学卒業後、8年間高校の教諭を経て退職。都立社会事業学校で学ぶ。
1974年(昭和50)、東京都城北福祉センターの医療相談員となり、山谷ドヤ街の日雇い労働者との関わりが始まる。その間、「地域でアルコール問題を考える会」をアルコール依存症回復者と結成、路上のアルコール依存症者と懇談会を続けてきた。一方、東京都に対してもアルコール問題対策を要請。この20年間に約3万人に近い日雇い労働者と出会う。また、「コミュニティーワーカー制度を考える会」を組織し、路上生活者たちの巡回相談、行政への要請、学習会などを行う。
1995年(平成7)6月退職。その後もボランティア活動を続け、今日にいたる。
1996年(平成8)1月6日NHK総合テレビ「冬、私の愛した山谷」が放映。同年2月20日、「こころの賞」受賞する。

〈主な著作〉
『山谷日記』(人間の科学社、1977年)、『日向に座って地球の回る音をきく』(人間の科学社、1978年)、『山谷、泪橋』(晩聲社、1978年)、『全盲の母の記録』(晩聲社、1979年)、『思川』(筑摩書房、1985年)、『山谷曼陀羅』(大修館書店、1995年)、『ミニー神父とアルコール依存症者たち』(東峰書房、1996年)、『隔離の里』(大月書店、1998年)、『路上に生きる命の群』(随想舎、1999年8月)、『東京のどん底から』(随想舎、2001年6月)、『赤いコートの女』(明石書店、2008年1月)

目 次

 夜行列車“はやぶさ”に乗る

 回想 平和と命を育むために
 故郷の思い出
 敗戦の日
 先生は怖かった
 友達との遊びに明け暮れる
 桶屋のおじさん
 犬童先生
 「不思議の国の王子」
 球磨川での犬掻き泳ぎ
 初めての「原爆被災の写真展」
 父がくれたメッセージ
 志賀先生と吉沢先生
 父の死、古いオルガンとの別れ

 「読書征服帳」と映画部部員
 苦境を乗り越えて
 苦悩と母の愛
 肺外科専門病院への就職
 光村君の死
 大学への夢
 高校教師になる
 生徒たちとの対話
 日雇い労働者の街で
 医療相談員とボランティア活動
 正義のための戦争はない
 人間の“ルツボ”
 放浪の果てに
 最後に残されたもの

“はやぶさ”終着駅に着く ―永遠につながる命