随想舎 

安善寺物語

宇都宮朝綱と平貞能の友情

小板橋 武[絵・文]

 益子町にもあった平家物語。
 平清盛の家来・平貞能は、なぜ益子に住んだのでしょう。
 これは「平家物語 巻第七」に書かれている宇都宮朝綱と平貞能の友情をテーマにした絵本です。「芳賀富士」と呼ばれる大平山のふもとにある安善寺では、800年以上前の二人の友情を讃えるかのように、毎年、たくさんの桜の花が舞っているのです。
 壇の浦の合戦で源氏に敗れた平家の落ち武者たちは、ちりぢりになって全国各地へ逃げていきました。ところが、平貞能は源氏の本拠地である関東へ、昔、自分が世話をしてあげた宇都宮朝綱を頼って逃げてきたのです。朝綱は、かつての恩を忘れず、源氏の侍大将・源頼朝に貞能の命ごいを懸命にしました。そのかいあって、頼朝のゆるしが出、貞能は益子に住むようになりました。その後、二人はたがいの友情を深め合い、静かに暮らしたといいます。その場所が、いまも益子町に残る安善寺なのです。

B5横判/上製/36頁/定価880円(本体800円+税)
ISBN 978-4-88748-251-7 C8721 \800E
2011年12月19日 第1刷発行

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著者プロフィール

小板橋 武  こいたばし たけし

1936年、神奈川県に生まれる。
1997年、小学校教員退職。
2006年、およそ10年をかけて全国の文化財を訪ね歩き、『これだけは見ておきたい各県一か所の旅』を出版。
2007年、随想舎から『宇都宮大空襲 一少女の記録』を出版。
2009年、随想舎から『戦時下の女学生たち』を出版。
2010年、随想舎から『少年とハト』を出版。

 現在、下野民話の会会員。宇都宮市内の小学校・老人ホームなどで民話語り部として活躍中。